丹後ちりめんについて
丹後ちりめんとは?
丹後ちりめんは、京都府丹後地方で経糸に無撚糸、緯糸に強撚糸(強くねじった生糸(1Mあたり3,000回程度ねじります))を使用して織られ、精練加工を経ることで生地表面にシボと呼ばれる細かい凹凸が生まれる後染め織物です。
このシボがあることで、シワになりにくく、しなやかで、凹凸で光が反射することで織物を染めた時の色がとても綺麗なため、着物の主な生地として使われており、 現在は国内の着物の生地(和装用白生地)の約70%を生産しています。
※写真提供:丹後織物工業組合
丹後ちりめんの歴史
丹後は1300年以上前の奈良時代から絹織物の産地であった歴史をもちます。丹後地方では、秋から冬にかけて冬の季節風が吹き、「弁当を忘れても傘を忘れるな」と言われるぐらい雨や雪が降ったり止んだりする日が続きます。織物を作るには糸が切れないように湿気や水が必要で、こうした気候が織物づくりに適しています。
ちりめん生地は中国で生まれ、16世紀後半に日本に伝来したのち18世紀初頭までは京都西陣で「お召ちりめん」としてほぼ独占的に生産されており、丹後の織物は「田舎絹」と呼ばれていました。
丹後の絹織物の売れ行きが低迷し、農業の凶作と重なり、人々の生活が困窮していた危機を乗り越えようと、絹屋の1人が京都西陣に赴き、地元の禅定寺で2度の断食祈願し、京都西陣で修業・研究の末、ちりめん織りの生産技術を習得し、持ち帰ったことが丹後ちりめんの始まりといわれています。
その後、主産地だった京都西陣で大火が起き、織機の大半が焼けて、ちりめんが品薄状態になり、丹後に注文が殺到するようになり、その結果、丹後は日本一の絹織物生産地となりました。
※写真は和デニムで使用する丹後ちりめんを製織する株式会社吉村商店の店舗と製織風景